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【2024/04/26 06:06 】 |
顧問弁護士(法律顧問)が問い合わせを受けるテーマ:出向命令
顧問弁護士(法律顧問)がよく問い合わせを受けるテーマをまとめます。

今日は、出向命令について説明します。

出向は、労務提供の相手方が変更されるため、就業規則・労働規約上の根拠規定や同意などの根拠がない限りは出向を命令することはできないと考えられています。なお、最高裁判例の中には、就業規則上の出向条項に加え、社外勤務協定(労働協定)において、出向期間、出向中の社員の地位、賃金、退職金、手当てなどの処遇に関して、出向労働者の利益に配慮した詳細な規定が設けられていることに言及して、出向命令の有効性を肯定したものがあります。以下はその最高裁判例の判決文の引用です。


1 原審の適法に確定した事実関係等によれば,(1)本件各出向命令は,被上告人が八幡製鐵所の構内輸送業務のうち鉄道輸送部門の一定の業務を協力会社である株式会社日鐵運輸(以下「日鐵運輸」という。)に業務委託することに伴い、委託される業務に従事していた上告人らにいわゆる在籍出向を命ずるものであること,(2)上告人らの入社時及び本件各出向命令発令時の被上告人の就業規則には,「会社は従業員に対し業務上の必要によって社外勤務をさせることがある。」という規定があること,(3)上告人らに適用される労働協約にも社外勤務条項として同旨の規定があり,労働協約である社外勤務協定において,社外勤務の定義,出向期間,出向中の社員の地位,賃金,退職金,各種の出向手当,昇格・昇給等の査定その他処遇等に関して出向労働者の利益に配慮した詳細な規定が設けられていること,という事情がある。
 以上のような事情の下においては,被上告人は,上告人らに対し,その個別的同意なしに,被上告人の従業員としての地位を維持しながら出向先である日鐵運輸においてその指揮監督の下に労務を提供することを命ずる本件各出向命令を発令することができるというべきである。 
 本件各出向命令は,業務委託に伴う要員措置として行われ,当初から出向期間の長期化が予想されたものであるが,上記社外勤務協定は,業務委託に伴う長期化が予想される在籍出向があり得ることを前提として締結されているものであるし,在籍出向といわゆる転籍との本質的な相違は,出向元との労働契約関係が存続しているか否かという点にあるのであるから,出向元との労働契約関係の存続自体が形がい化しているとはいえない本件の場合に,出向期間の長期化をもって直ちに転籍と同視することはできず,これを前提として個別的同意を要する旨をいう論旨は,採用することができない。
2 本件各出向命令が権利の濫用に当たるかどうかについて判断する。
 原審の適法に確定した事実関係等によれば,被上告人が構内輸送業務のうち鉄道輸送部門の一定の業務を日鐵運輸に委託することとした経営判断が合理性を欠くものとはいえず,これに伴い,委託される業務に従事していた被上告人の従業員につき出向措置を講ずる必要があったということができ,出向措置の対象となる者の人選基準には合理性があり,具体的な人選についてもその不当性をうかがわせるような事情はない。また,本件各出向命令によって上告人らの労務提供先は変わるものの,その従事する業務内容や勤務場所には何らの変更はなく,上記社外勤務協定による出向中の社員の地位,賃金,退職金,各種の出向手当,昇格・昇給等の査定その他処遇等に関する規定等を勘案すれば,上告人らがその生活関係,労働条件等において著しい不利益を受けるものとはいえない。そして,本件各出向命令の発令に至る手続に不相当な点があるともいえない。これらの事情にかんがみれば,本件各出向命令が権利の濫用に当たるということはできない。
 また,上記事実関係等によれば,本件各出向延長措置がされた時点においても,鉄道輸送部門における業務委託を継続した被上告人の経営判断は合理性を欠くものではなく,既に委託された業務に従事している上告人らを対象として本件各出向延長措置を講ずることにも合理性があり,これにより上告人らが著しい不利益を受けるものとはいえないことなどからすれば,本件各出向延長措置も権利の濫用に当たるとはいえない。
3 以上のとおりであるから,所論の点に関する原審の判断は,正当として是認することができる。原判決に所論の違法はなく,論旨は採用することができない。


会社の方で、以上の点に不明なことがあれば、顧問弁護士にご相談ください。

個人の方で、以上の点につき相談したいことがあれば、弁護士にご相談ください。


このブログにおいては、法律専門家でない方にも役立ちそうな法律知識を条文知識や裁判例を中心に紹介しています。記事のテーマは特に限定していませんが、筆者が主に企業の顧問弁護士をしているため、企業向けのテーマが多くなると思います。ただ、個人の方の法律問題に関連するテーマについても、最近受ける相談が増加している交通事故(示談や慰謝料)不当解雇の相談、借金の返済の相談、残業代請求、知人や親類が刑事事件で逮捕されたという刑事弁護などを中心に扱う予定です。なお、記事投稿の時には新しい情報でも、その後の法律改正や新判例により古い情報になっている場合がありますし、それなりに気をつけていますが、誤記など不完全な内容があるかもしれませんので、実際に法的問題に直面した会社の方は、その都度顧問弁護士にご相談ください。これから顧問弁護士を探す場合には、費用や取り扱い分野など各法律事務所をよく比較検討することをお勧めします。また、個人の方で、借金の返済の相談不払いの残業代の請求、不当解雇の相談、交通事故(示談や慰謝料)、刑事弁護事件などの問題でお悩みの方は、弁護士にご相談ください。
 
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【2010/04/21 16:11 】 | サービス残業2
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