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このブログにおいては、法律 今回は、交通事故の裁判例を紹介します。一般に心筋梗塞の発生原因の一つにストレスも含まれるものと考えられるところ、訴外好雄は昭和五〇年ごろから糖尿病を患い、昭和五一年九月ごろには心筋梗塞により左心室の四分の三の機能が停止していたところへ、本件交通事故により自車ハンドルで胸部を強打し、右胸部に重苦しい痛みと頸部痛を訴え、嘔気も訴えるなど本件交通事故によるストレスが相当程度存していたことが推認され、訴外好雄の新しい心筋梗塞の発症時期が本件交通事故発生時ごろと一致していることをも考え合わせると、本件交通事故と訴外好雄の死亡との間には因果関係があるものというべきである。しかしながら、右事実によれば、遅くとも昭和五一年九月以降、訴外好雄には糖尿病を遠因とする動脈硬化があり、かつ、右の動脈硬化により左心室の四分の三の機能が停止しているという陳旧性の心筋梗塞に基づく既応症がみられ、日常生活においては、狭心症に対する投薬治療の効果もあつて、健康人と同様の活動をしていたことを考え合わせても、訴外好雄の右の如き既応症がなければ本件交通事故により死亡することもなかつたことも認められる本件では訴外好雄の死亡という結果に対し本件交通事故が一〇〇%寄与したものとはいえず、本件交通事故による寄与をみると、医学上は、本件交通事故が訴外好雄の左心室の四分の一の機能停止をもたらし、しかも、交通事故によるストレスを介してのみ心筋梗塞に寄与しているというのであるから、ここにおいても心筋梗塞を惹起し易い訴外好雄の体質的素因を考慮しなければならない結果、本件交通事故の訴外好雄の死亡に対する寄与は八分の一を超えることはないものといいうるものの、因果関係の判断は、純粋に医学的判断のみでこれを考慮すべきものではなく、医学的判断を前提としながらも社会通念を通して考慮すべききわめて法律的判断を要する事項であつて、そうすると、訴外好雄は本件交通事故以前には健康人と同様の社会生活を営んでいたことも考慮せざるを得ず、この点のみを考慮すれば本件交通事故の訴外好雄の死亡に対する寄与は二分の一を下ることはないものといいうることなど右の如き諸事情を総合考慮すれば、本件交通事故の訴外好雄の死亡に対する寄与は、少なくとも三割程度であつたものというべきである。blog PR |
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