顧問弁護士(法律顧問)として、問い合わせを受けることがあるテーマをメモしています。
今日のテーマは、セクハラです。
まず、労働契約法5条は、「使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。」と規定し、労働安全衛生法3条1項は、「事業者は、単にこの法律で定める労働災害の防止のための最低基準を守るだけでなく、快適な職場環境の実現と労働条件の改善を通じて職場における労働者の安全と健康を確保するようにしなければならない。」と規定しています。よって、使用者には、適正良好な職場環境を保持する義務があります。
そこで判例上も、セクハラへの配慮義務が認められてきました。
さらに、雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律(男女雇用機会均等法)11条1項は、「事業主は、職場において行われる性的な言動に対するその雇用する労働者の対応により当該労働者がその労働条件につき不利益を受け、又は当該性的な言動により当該労働者の就業環境が害されることのないよう、当該労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない。」と規定しています。
そして、「事業主が職場における性的な言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置についての指針」(平成18年厚生労働省告示第615号)は、上記の措置について詳細に定めています。
この指針によると、職場におけるセクハラには、職場において行われる性的な言動に対する労働者の対応により当該労働者がその労働条件につき不利益を受けるもの(対価型セクシュアルハラスメント)と、当該性的な言動により労働者の就業環境が害されるもの(環境型セクシュアルハラスメント)があります。
「対価型セクシュアルハラスメント」とは、職場において行われる労働者の意に反する性的な言動に対する労働者の対応により、当該労働者が解雇、降格、減給等の不利益を受けることであって、その状況は多様であるが、典型的な例として、次のようなものがあります。
・事務所内において事業主が労働者に対して性的な関係を要求したが、拒否されたため、当該労働者を解雇すること。
・出張中の車中において上司が労働者の腰、胸等に触ったが、抵抗されたため、当該労働者について不利益な配置転換をすること。
・営業所内において事業主が日頃から労働者に係る性的な事柄について公然と発言していたが、抗議されたため、当該労働者を降格すること。
「環境型セクシュアルハラスメント」とは、職場において行われる労働者の意に反する性的な言動により労働者の就業環境が不快なものとなったため、能力の発揮に重大な悪影響が生じる等当該労働者が就業する上で看過できない程度の支障が生じることであって、その状況は多様であるが、典型的な例として、次のようなものがあります。
・事務所内において上司が労働者の腰、胸等に度々触ったため、当該労働者が苦痛に感じてその就業意欲が低下していること。
・同僚が取引先において労働者に係る性的な内容の情報を意図的かつ継続的に流布したため、当該労働者が苦痛に感じて仕事が手につかないこと。
・労働者が抗議をしているにもかかわらず、事務所内にヌードポスターを掲示しているため、当該労働者が苦痛に感じて業務に専念できないこと。
次回は、事業主が、職場におけるセクシュアルハラスメントを防止するため、雇用管理上次の講じなければならない措置についてまとめます。
ここまでで、ご不明な点がある企業のご担当者は、顧問弁護士(法律顧問)にご相談ください。
また、法律問題でお困りの方も、弁護士にご相談ください。
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